現物とは何か

株式とはそもそも何なのか?教科書に書いてある通り、株式会社の一部を所有すること。ある株式会社に出資すること。
で、それが投資とどんな関係が出てくるのか?


本来の株式の目的とは、

  • ある株式会社に出資することで、その利益の分け前を得ること。
  • その株式会社の議決権を得ることで、その会社の経営に影響を及ぼすこと。


といったことかと思う。
会社の所有権。


で、2番目の項目については、その会社の議決権に影響を及ぼせるほど株式を所有ししている株主にしか関係がない。もし2番目の目的のために、株を一口購入した株主がいたら、そいつは単なる馬鹿以外の何者でもない。
では、人は何のためにある企業の株式を一口買うのか?


圧倒的に後者であろう。
配当を得るためというのは、日本語の一般的な意味における「投資」に近い。しかしこれも、一定額を投入しなければあまり意味がないのではないか?まあこの辺は個人の感覚かもしれないが。。。


しかし実際にどうして人が株式市場に参加するのかというと、後者を得るため、一攫千金を得るためじゃないのだろうか。
つまり、楽して金を儲ける、というアレですな。つまり賭け事、ギャンブル。賭博。
資本主義、株式会社の発明の肝は、社会の根幹をなす経済基盤がギャンブルである、ということだろう。だからこそ企業は莫大なキャピタルを調達できる。そういうインフラをバックグランドにして活動できる。


Wikipedia日本語版によると、ギャンブルとは:
『賭博(とばく)は、金銭や品物などの財物を賭けて偶然性の要素が含まれる勝負を行い、その勝負の結果によって賭けた財物のやりとりを行なう行為の総称であり、博打(ばくち)、博奕(ばくえき)、賭け事(かけごと)、勝負事(しょうぶごと)、ギャンブル(Gamble)とも言う。』


さて。
自分は何を目的として株式市場に参加しているのか?ということをもう一度ここでよく考えてみよう。
誰もがそうだと思うが、勝つためではないだろうか。勝つとは、ある長い年月の間ゲームに参加して、結果として自分が投入した元手のお金よりも多くを利益として得ること、だと思う。
そして、じゃあどれくらいの期間、どれくらいの利益を得るのか?
ここは人それぞれだと思う。


自分はどうなのか?自分は。元手の十倍以上。二十倍くらいならある程度満足はできようが、可能であれば百倍以上の利益を得たい。
はい、わかった。


ギャンブルすべきか?否。

  • ギャンブルではなく確実性が欲しい。偶然に依存するなら宝くじを買っても同じ行為。
  • 失うリスクを取りたくない。宝くじは『失うものは少ないが、得られる確率はとんでもなく低い』というギャンブルモデル。株式市場をギャンブルとして考えた場合、『得られる確率ははるかに大きくなるが、失うときはこれまた大きい』というギャンブルモデル。


ギャンブルでない株式市場への参加。
となると、現物の意義とはインカムゲインしかないではないか。
ここには多くの飛躍がある。『キャピタルゲインを追求しつつ、ギャンブルではない株式市場への参加の仕方』というものがある、と多くの人が考えており、そのために一生懸命、研究し、理論を作り、本を書いて、実践し、とやっている。
これを個人の見方としてどう考えるか?という極めて主観的な話になってくる。


ここで一言。
人間の一生は、ある相場理論を実証するのに十分は長くないと思う。


もう一つ主観を加えるなら、個別株のキャピタルゲイン追及は完全に運任せのギャンブル以外の何物でもない。
投資家が議論をしないものだとすると、あとは実際に自分が信じる道に従って市場に参加する、そして市場に参加していた期間の間に原資がどうなったかが、結果のすべてだ、というだけだ。


身もふたもないけど、言いたいことは、

という2点だけ。

  • 株価は業績と連動しない。
  • 「連動した」ということがどういうことか、定義できない。たとえば、前期比純益2倍を達成した企業の株価は、前期比2倍になるのか?
  • 業績が大幅にアップしたが株価が上昇しない場合(あるいは逆の場合)、「すでに織り込み済み」と言われる。つまり、株価は業績に連動しない、と言っているのとまったく同じ。
  • 同じ業績アップをした企業の株のPRE, PBRが大幅に違うのはなぜか?比較して割安な株に対して「注目されていない」と言われるが、じゃあいつなら注目されるのか。結局、株価は業績に連動しない、と言っているのとまったく同じ。


つまり、個別株のキャピタルゲインを得るために、個別企業のファンダメンタルズを研究してもあまり意味がない、ということが全般的に、非常に強い妥当性を持って言えると考えている。
ファンダメンタルズ研究は、個別株のインカムゲインを得るためには有効だと考えている。


忘れないためにメモしておくと、割安、割高というときに、必ず時間の概念を入れて考えるということ。
これが非常に重要。割安、割高が訂正される。そこを狙う。単なるギャンブルでないためにはそこは非常に重要。
しかしそれはいつなのか?
そしてどれくらい訂正されるのか?


確率論的に、この二つの命題と格闘して利益を得ようという活動をするときに、個別企業のファンダメンタルズはほとんど参考にならないのではないか。というのが疑念。