「市場との対話」は投資家の甘え

普通に考えてまともな頭ならわかるだろうけど、何で中銀や政府が投資家の利益のために動かなければならないのだろうか?彼らにそんな動機はみじんもない。

投資家が破産しようが何しようが、そんなことは知ったこっちゃないだろう。そうじゃなくて投資してるとかしてないとか関係なく国民を全般的に保護するため、国内の経済を安定させ回すために施策するのであって。その上で、株式市場の不安定が実体経済に影響を及ぼす可能性がある場合には下支えするということだ。

別に投資家とか市場と対話してるわけじゃない。

私見だけど米国も日本も今の市場の水準は高すぎる。実体経済が良いわけではなく、リーマン以降の世界的金融緩和の引き締めができないままずるずる来てしまっただけ。特に米国はリーマン後2期で共和党政権に代わってしまい、不必要に緩和が放置された。このままだとそのうち本物のバブルが発生してリーマンの二の舞になる可能性がある。

結局民主党政権に戻らないと引き締めできなかったわけだ。本当に恐ろしい。あれほど愚かなハードランディングだったリーマンショックから何も学んでいないというわけだ。あとは言わずもがな。

日本は財政構造的に引き締めできなくなっちゃってるから仕方ない。その代わり少子化のマイナス影響やイノベーションが起こりにくい社会構造等、実体経済に拡大の余地がなさ過ぎて、バブルが発生する材料がないからあまり引き締めを考える必要がない、というメリット(?)がある。

今回突然少し引き締め姿勢を見せたけど、おそらく為替が急に行き過ぎて米欧中の経済に影響を与え過ぎないように調整しただけで、これからも円安が進んでいく傾向は変わらないと思う。日本の実体経済は沈み、通貨が弱くなる。物価が上がって購買力は落ちていく。昔のように日本人が海外に出稼ぎに行く時代が来るかもしれない。ただ貧しくなることで「日本買い」を誘えるという希望はあると思う。

平和で小金持ちのまま豊かさが維持・拡大されるとか、そんな都合のいいことは起こらない。米国だって厳しい貧富の差とか世界一強大な軍隊の維持と運用とか、犠牲を払って今の地位を築いているわけだ。減税論者はよく考えた方がいい。

まあ「これから中銀の引き締め・巻き戻しが始まる」という見通しを立ててからすでに4年近く経ってるし、その間にコロナ禍もあったりしたから、あまりパフォーマンスに貢献してないけど。

ただ世に散見される「配当利回りはけっこう高いし日本株はまだ割安」という銘柄選別主義者たちとは真っ向から意見が分かれていることには違いない。